チリのハーブについて

チリワインのカゲに隠れておりますが、チリの食卓で忘れてならないのが、ハーブティー。
レストランでも、食事が終わると、「コーヒーかハーブティーはいかが?」と必ずすすめられます。 チリでは、おばあちゃんの世代からハーブの薬効が伝えられているので、体調不調を訴えると、「○○を飲みなさい」と教えられることが多いのです!
薬嫌いのワタシにはもってこい、というワケで、ホントに効くかどうかは別として、とりあえず我が家のキッチンには10種類以上ものハーブティーが常時ストックされております…。

いずれはお料理に使われるハーブについてもご紹介していきたいと思いますが、まずはチリ名物各種ハーブティーについてご説明致しマス。 ちゃんと輸出もしてるみたいですよ。

マンサニージャ (MANZANILLA) バイラウエン (BAILAHUEN) メンタ (MENTA) セドロン (CEDRON)
ボルド (BOLDO) ロサ・モスケタ (ROSA MOSQUETA) ティロ (TILO) トロンヒル (TORONJIL)
パイコ (PAICO) ジャンテン(LLANTEN) ポレオ(POLEO) アニス(ANIS)


マンサニージャ (MANZANILLA)

学名はMatricaria recutita、日本語ではかみつれ草、英語ですとカモマイルとかカモミールと呼ばれる、ハーブティーの中では最もポピュラーなお茶です。 スーパーの商品棚を見ると、どのお茶メーカーもこれだけは欠かせないという感じで販売しています。
このお茶は、葉の部分ではなく、黄色い花の部分を使用します。 香りがよく、味にくせがないので、他のハーブとブレンドするのもグッド。 神経を休める働きがあるそうですので、緊張のあとの一服にぜひお試しください。 その他胃腸の調子を整えるのにもいいそうで、食後のお茶としても最適です。 ちなみにチリでは、マンサニージャのリキュールもポピュラーです。 一度某レストランですすめられるままに試したら、おいしくって、小さなグラスをすいと飲み干し、その後酔っ払って大変でした。


バイラウエン (BAILAHUEN)

学名はHaplopappus bailahuen、日本語や英語ではなんというのかわからない、ワタシにとっては正体不明のハーブです。 チリのハーブティーの中では、どちらかというとややマイナーなお茶かもしれませんが、最も好きな味のティーです。 
お腹が空いたときにガツガツ食べると、きまってそのあとお腹が張る、という体質のワタシがチリ人同僚から「駆風効果があるよ」と教えられたのがコレ。 飲むやいなやブッと出る、というほどの効果はありませんでしたが、味も香りもマイルドで、普通のお茶に近い味わいなのです。 そのせいか、ティーバッグを長時間入れっぱなしにしておくと、おそろしく苦いお茶にもなります。 葉の部分を利用した他のハーブティーと違って、全く「青臭み」がないのも特長のひとつです。
もしどなたかこのハーブの日本語名を知っていらっしゃったらぜひ教えてください。 通常ティーバッグが入っている箱には、英語名も併記されているのですが、これだけは書かれていないのです…。


メンタ (MENTA)

学名はMentha piperita(ペパーミント)、スペイン語名からもお察しの通り、ミントティーです。
夫の実家から1株分けてもらい、鉢植え栽培しています。 ほっといてもぐんぐん育つ、たくましい植物です。それにもかかわらず、フレッシュな葉っぱで作るお茶はあまりにも香りが強すぎるので、ティーバッグを愛用しているという、本末転倒なことをしておりますが。
このハーブティーも、チリではマンサニージャと並ぶポピュラーなお茶で、すべてのメーカーが販売しているようです。
ミントの効能は、第一には神経を休めること。(神経からくる震えやむかつきによし) それから鼻ミズ止めにもいいとありますが、これはティーではなく、キャンディや飴になったときだと思います。 お菓子やお料理と幅広く使えるハーブの王様ですよね。


セドロン (CEDRON)

学名はAloysia triphylla、日本語名はこうすいぼく、英語名はレモンバーベナといいます。 レモンの香りがするところから名づけられたそうですが、率直なところ、それほどのにおいはなし。 以前に住んでいた家の庭木にあったので、よく葉っぱを摘んできては飲んでいました。 見た感じはローレル(月桂樹の葉)に似た厚めの葉っぱなので、生でもティーバッグでも濃くでません。 あっさりしたお茶で、ちょっと青みを感じる味。 おもには胃腸に効くお茶だそうで、消化を助ける目的で食後に飲む人が多いようです。
その他ポプリや化粧品にも使われるハーブだそうです。  


ボルド (BOLDO)

学名はPeumus boldus、これまた正体不明のハーブで、日本語名も英語名もわかりません。 どなたか知っている方、教えて! 本によると、常緑樹の葉らしいのですが…。
このハーブも香りはよいのですが、味がとっても薄く、率直なところ水っぽいお茶です。 上記のセドロンをもうちょっと青臭くしたような感じ。 それでも効能書をチェックしてみると、なんとひたすら肝臓によいお茶らしい。 肝臓機能に必要なある物質(アセトアルデヒドのことかしらん?)の抽出を促進する働きがあるそうな。 肝炎もちの人にもおすすめのティーだそうです。 ということは、むろんお酒をすごした後にもグーなはず!

以下は、れいろんさんからの情報です!

成長すると20mに達する常緑広葉樹で、分布域はコキンボからオソルノで特にチリ中央部の山地におおく自生している。
香りの良い木で、その葉を薬用に用いることから、刈り込まれた状態のものが多く見られる。 雌雄異株。 雌木・雄木とも冬に花をつける。 雌木は卵型の緑色の実をつけこれは食べられる。 この木は、チリの郷土樹種のため、和名はなく、英名もないかもしれない…とのことでした!
専門的な情報、どうもありがとうございました。


ロサ・モスケタ (ROSA MOSQUETA)

学名はRosa canina、薄いピンク色の花をつけるバラ科の植物の実です。 英語ではローズヒップ、こちらの名称の方がわかりやすいかな?
ロンドンにいた際、某有名紅茶屋でバイトしていたのですが、ハーブティーを買いにくるお客さんで、ハーブに詳しくない人は、みなこのティーに興味を持っていました。 ローズティーなんて言われるといかにも美しいピンク色で甘い香りのお茶に思えるのでしょう。 「どんな味のお茶ですか?」と質問してくるお客様には、「すっぱいお茶ですよ。 もしもハーブ初めてとか、お友達へのプレゼントでしたら、カモマイル(マンサニージャ)の方がいいと思いますが…」と率直に答えていましたが。
ビタミンCは豊富らしいですが、これって要するにシオ味のない梅茶という感じです。 後味もまさにウメそのものです。 …なんて書くと、ミもフタもないかしら。 ニホンでもポピュラーなお茶だと思いますので、まだ味を知らないかたはぜひ試してみてください。


ティロ (TILO)

学名はTilia europaea、日本語では菩提樹、英語ではリンデンと言います。 ハーブティーには黄色い花の部分を使用します。
はじめてこのお茶をトライしたのは勤務先の事務所。 チリの会社らしく、飲み物はコーヒー、紅茶の他にハーブティーも各種揃えてあります。 あるとき「各種ハーブのティーバッグ詰め合わせ」の箱をのぞいたら、マンサニージャやセドロンなどの人気ティーはすっかりなくなっていて、やたらこのティロが売れ残っているわけです。
飲んでみてナットク。 …まずい。 味はともかく、独特の匂いにクセがあり、たちのぼる湯気を嗅ぐとガクっときてしまうのです。 ワタシのみならず、チリ人同僚たちの口にも合わないのでしょうね、きっと。 菩提樹なんて日本語名を知ったときには、ちょっと意外な感じがしました。
けれども効能はなかなかのもの。 緊張緩和、利尿作用に効き目あり。 その他心臓によし、消化不良によし、不眠症にも効果的。 先に書いたようにクセのあるお茶ですが、ティーバッグ詰め合わせの一種として販売されているだけでなく、ちゃんと一箱としても売られているので、根強いファンがいるのでしょう。 他のお茶とフレンドしたらもう少し楽しめるかもしれませんね。


トロンヒル (TORONJIL)

学名はMelissa officinalis、英語ではレモンバームと言います。 名前からもわかる通り、レモンの香りがすると言われていますが、う〜ん、これまたゼンゼンそんな匂いしないなあ…。 葉っぱの部分を使用するこのティーは、ずばり青臭さがありますので、これだけで飲むより、何かとブレンドした方がよいのではとマンサニージャと合わせたところ、かなり不気味な味になってしまいました。(テイシュはうまいと言って飲んでいましたが…)
このハーブの効能は、主にはリラックス。 神経を和らげたり、不眠によいそうです。 また呼吸困難や発熱、頭痛にもきくそうです。 どちらかというと、チリではマイナーなハーブティーですね。


パイコ (PAICO)

学名はChenopodium ambrosioides、英語ではソルトワートと言います。 非常に香りのよいハーブで、味も青臭さがなくあっさりと飲みやすい。 何よりすてきなのは、飲んだあとの後味です。 なんともいえず爽やかな香りが残ります。
効能としては、ひたすら胃にききめのあるハーブのようです。 食べ過ぎ、消化不良、お腹をこわしたとき、寄生虫がいるとき(?)におすすめだとか。 それから汗をかかせる効果もあるので、風邪をひいて寒気がするときなどにもよいようです。 但し、ノンカフェインではありますが、ハーブの中では刺激的なお茶と効能書にあり。 夜、眠る前に飲むお茶ではないようですね。 


ジャンテン (LLANTEN)

学名はPlantago major、英語や日本語で何というのかは不明です。(と書いたままずーっとほったらかしておりましたが、いろいろな方から、日本では「オオバコですよ」と教えて頂きました!)
香りは薄いのですが、独特の味わいのあるお茶で、これまた飲みやすいハーブティーです。 これから冬にかけてスモッグが蔓延するサンチアゴでは、ご家庭に一箱常備すべきお茶。 なぜかと申しますと、セキや気管支炎、のどの腫れなどに効き目のあるハーブなのです。 これを煮出したものでうがいをするのもいいそうで、膀胱炎にも効くそうです。 冬のおすすめハーブですね。


ポレオ(POLEO)

学名はMentha pulegium、英語・日本語ではペニーロイヤルと言います。 学名からもわかる通りミントの仲間に入りますが、芝生のように生える草で、ピンク色の花をつけます。
効能としては消化促進・および悪いものを食べたときの解毒作用があると言われています。 味はどちらかというとミントよりもマンサニージャに似た感じで、香りの強いお茶です。   


アニス(ANIS)

学名はPimpiella anisum、利用するのは種子。 お菓子の香料としてもよく用いられる、日本人にはなじみのあるハーブです。
チリ人もアニスは好きらしく、パンコーナーに行くと、パン・デ・アニスが売られています。 私には、あまり好みの香りではなかったので、これまでハーブティーも敬遠していたのですが、ある時「詰め合わせ」の中にあったアニスティーを試して、偏見がくつがえされました。 マンサーニージャよりも香りが淡く、非常に飲みやすい。 それ以来、アニスティーだけのティーバッグを買うようになってしまいました。
尚、このお茶の効能は、消化促進、駆風効果があること。 また、血液循環にもいいそうです。 しょっちゅうおなかが張る体質の方には、バイラウエンと並んでお勧めのお茶です。


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